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銀ステの寓話

「元気になる旅」をお届けします

「思い切って旅に出たら、元気になれた」

そんなお客様のお声が聞きたくて「銀のステッキ旅行」は誕生しました

―その思いをひとつの寓話に託して―

『ステッキじいさん空を飛ぶ』

昔、おじいさんは大の釣り好きで、
海へ、川へと外に出かけるのが大好きな明るい人でした

ところがある夏の日、長年連れ添った妻に思いがけず先立たれ
すっかり気落ちしてしまい、人前に出るのが億劫となっていきました

以前わずらった病のせいもあり、あれだけ元気でお調子者だったおじいさんは
足が弱り、それを周囲に知られるのを嫌がって、
家からまったく出なくなってしまいました

使わない足はますます弱っていきます
そして窓はいつもカーテンが閉められています
村人が心配して訪ねても、もともと頑固だったおじいさんは
家の扉を開けようとはしません

そんなある日、おじいさんの元に小包が届きました
それは先立った妻からの贈り物
驚き中をあけてみると、そこには銀色に輝く1本のステッキがありました
今日はおじいさんの80歳の誕生日
妻は早くからこの日に届くように隣町で注文をしていたのでした

おじいさんは思い切ってそのステッキを片手に久しぶりに家の外に出てみました
するとどうでしょう、
世界がいっぺんに広がり、目の前の全てが、キラキラ輝き始めました
いつもはふらつく足元も、不思議なことにこの銀のステッキを持てば軽やかに
そう、昔、妻と踊ったワルツのステップさえ踏めるのでした

そうして久しぶりにワクワクした気持ちに酔っていると
なんということでしょう
銀のステッキは、まるで生が宿ったかのように、突然くるくる回転したかと思ったら
おじいさんを背に乗せ、空高く飛びたったのです

驚くおじいさんを乗せ、銀のステッキは、おじいさんが大好きだった青い大海原を抜け
おじいさんが始めて旅した緑の島を越え、おじいさんが妻と初めて出会った小さな港を
通り、そうして妻と暮らしたささやかな我が家へ戻ってきました

おじいさんは思いました
この思いがけない贈り物はきっと、「楽しんでこそ人生」という妻からのメッセージ

次の朝、おじいさんはステッキ片手に久しぶりに村人の前に現れました
驚く村人を前におじいさんはステッキにまたがり空飛ぶ準備
・・・もちろんステッキは飛びません

大笑いする村人
昔のままの、あのお調子者のおじいさんが戻ってきたのです

おじいさんは皆と大笑いしながら
その銀のステッキを慈しむようにそっとにぎりしめたのです
そっと・・・