台湾に行ってきました。
「アケマシテ、オメデト、ゴザイマース」
それは台湾旅行の3日目、行政を担う「総統府」
見学の受付を済ませたときでした。
身分証明用に赤いパスポートを手にしていたせいでしょう。
なめらかな日本語で声をかけられ、何かを手渡されました。
「あれ、これは…?」
台湾人のガイドさんに尋ねると、
「新年のお祝いです。もうすぐ正月だからね」。
配っていたのは、年賀の赤い封筒。
「HAPPY NEW YEAR 2026」の文字と、白い馬のイラスト。
来たる「新年」の干支です。
とはいっても、私たちが訪ねたのは2月初旬。
正月気分なんて、とうの昔に消え失せたところへ突然の
「アケマシテ、オメデト、ゴザイマース」
2月の台湾は、翌週からに控えた旧正月の準備で華やいでいました。
今年の春節(旧正月)は2月17日。その日を中心に、
2月15日から9連休となるそうで、日本でいえば、
ちょうど師走の賑わいといったところでしょうか。
夜ともなると、通りはごったがえし、店の前には人だかり。
夕食に出向いた老舗レストランも、個室はすべて埋まっているようです。
混んでいるせいか、料理はなかなか出てきません。
「ゴメンネー、ヤット、キタネ」
前菜のあと、ようやく出てきた海鮮スープをよそいながら、
年配の店員さんが仰るには、
「キョウ、キンヨウビ。ミンナ、ボーネンカイ」
こんなふうに、台湾ではあちこちで、片言の日本語で話しかけられます。
一方、こちらの中国語は、ニーハオとシェーシェーぐらい。
台湾に来るたびに感じるのが、このアンバランスです。
自分が台湾のことをいかに知らないか。
そもそも、台湾語と中国語はかなり違うらしいし…。
以前、こう仰るお客様がありました。
「今は何かと問題が多いけど、中国や朝鮮なくして、
日本の文化や芸術はないと思うんよ」
たしかにお隣の国ゆえ、当たり前に自身の一部になっていたり、
逆に、知らず知らず関わっていたりすることも。
実は、冒頭の「総統府」の見学では、ちょっと緊張していました。
今は台湾行政の場である総統府は、もとは日本の「台湾総督府」。
50年間もの日本による台湾統治を象徴する建物です。
その入り口で、ふいに耳に飛びこんできた
「アケマシテ、オメデト、ゴザイマース」の日本語と、年賀用の赤い封筒。
白い馬のイラストの横にはちゃんと、「丙午」の文字がありました。









