『ベルばら』と『銭形平次』
たとえば京都への日帰りバス旅行と、ヨーロッパ10日間の旅。
企画をするにも添乗するにも、実は日帰りのほうが難しい…というのが私の実感です。
なぜなら日帰りツアーは、失敗したら挽回できないから。
晴れる日もあれば雨の日もある。
一度ぐらいレストラン選びに失敗したって、またつぎ挽回すればいいさ――。
まるで人生のブルースのような海外ツアーに対して、
一方の日帰りツアーは、お食事も訪問地のチョイスも一発勝負。
失敗は許されません。
そして何より難しいのが、テーマを貫きとおすこと。
スイスならスイス…と、訪問地それ自体がテーマになりうる海外ツアーとは異なり、
国内旅行の場合、しっかりとテーマを絞りこんでおく必要があります。
「○○美術展」でも「○○祭り」でも、まずは旅のメインテーマを設定し、
つづいて食事やその他の訪問地などを、
なるべくテーマのイメージに合うものでまとめていく。
企画とはつまり、旅の1日を演出することですから。
たとえば、来日中のルーブル展をメインテーマに据えるなら、
お食事はやはりフレンチでしょう。
もしここで、お昼がお寿司だったら…
『ベルサイユのばら』にいきなり『銭形平次』が現れた、みたいなもの。
気分は、ちぐはぐです。
そういえば以前、他社のパンフレットで
「銀座・歌舞伎座と海のエジプト展」というツアーを見つけ、
その強引さにちょっとびっくりしたことも…。
もう何年も前に添乗した京都への日帰り旅行で、
今でも企画する際のお手本にしているツアーがこちら。
●まずはモネのコレクションで知られるマルモッタン美術館展を鑑賞。
●その後、京都大学の時計台にあるフレンチでランチ。
「この人達みんな京大の先生よ…」ひそひそ。アカデミックな雰囲気に一同酔う。
●最後に、醍醐寺の宝物館を会場にしたカルティエ宝飾展。
暗闇に浮かびあがる仏像のとなりで、妖しい輝きをはなつジュエリーが神秘的!
京都でこんな楽しみ方ができるのか…と感心しながら、
洒落たテイストの1日を堪能しました。
そんなお手本ツアーを思い出しながら、
本日、銀のステッキ旅行の初企画となる日帰りツアーを2本、完成いたしました。
それぞれの旅を貫くテーマは――
ちょっともったいぶりまして、
近々アップ予定のホームページにて発表いたします。