ブログメニュー
2011/7/25

さびしいカシの木

なにかを好きになると
のめりこんで、飛びこんで、
そこからぐんぐん世界が広がる――
そんな経験はありませんか。

私の場合、この夏はじめて耳にした
パブロ・カザルスの奏でるチェロの響きは、
まさにそんな出会いでした。

カザルスがコンサートの最後に必ず弾いたという
スペイン・カタルーニャ民謡「鳥の歌」。

その「鳥の歌」という名を、
あるコンサートの案内に見つけたのは
スペインの旅に出発する前のこと。

宝塚演奏家連盟の主催による
東日本大震災のチャリティコンサートでした。

問い合わせ先とあった番号にすぐにお電話し、
「この曲が聴きたいのです」とお便りを出しました。

そして…きのうが、そのコンサートの日でした。

くり返し聴き、もうすっかり耳になじんだ「鳥の歌」。

聴きなれたチェロの音色ではなく、
カザルスの願いであっただろう祈りのことばが
澄んだアルトの歌声にのせて会場に響きわたり…
力いっぱい拍手しました。

そして昨日は、もうひとつの出会いがありました。

美しいソプラノで歌い上げられた「さびしいカシの木」。

最後のことばがホールに吸い込まれて消えたとき、
会場の空気がふっと涙ぐんだように思いました。

歌詞をご紹介します。

 山の上のいっぽんの
 さびしいさびしい
 カシの木が
 とおくの国へいきたいと
 空ゆく雲にたのんだが
 雲は流れて
 きえてしまった

 山の上のいっぽんの
 さびしいさびしいカシの木が
 私といっしょにくらしてと
 やさしい風にたのんだが
 風はどこかへ
 きえてしまった

 山の上のいっぽんの
 さびしいさびしい
 カシの木は
 今ではとても年をとり
 ほほえみながら立っている
 さびしいことに
 なれてしまった

ひとり丘に立つ、さびしいカシの木が
まるで一冊の絵本を読むように目に浮かびました。

歌詞が、メロディーが、
とても平易なのに心に響き
きのうからくり返し頭のなかで流れています。

調べてみると…「アンパンマン」の
やなせたかしさんの詩でした。

納得。

街やテレビの中には音楽があふれています。

でも「鳥の歌」や「さびしいカシの木」のように
自分にとって大切な曲、
何度でも聴きたいと思える曲に、
この先どれぐらい出会えるのでしょう。

今もこれからも
やりたいことはいろいろあるようで
実はそれほどなくって、
まだまだ出会えていない美しい歌や物語、風景、人たち、
自分にとって大切と思えるものを
少しずつ見つけていければそれで十分。

それが今日の気分です。

▼スペイン・ツアー報告「ピレネーの黄&バルセロナの青」はコチラ
http://ameblo.jp/arailuka/day-20110617.html

****************************************
貸切バス・オーダーメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日8:30~17:00)
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com
■銀ステ旅先案内人:http://ameblo.jp/arailuka
****************************************

この記事をシェアする