ブログメニュー
2021/6/28

すぐそこの知の巨人

「今日は、おたくに憎まれ口を叩かれにきたようなもんよ」

お会いするなり仰いました。

「もう、ヨレヨレよ。でもまぁ気分転換になるかと思って」

確かに足元がどうにもおぼつかない様子。

「それはそれは、高くつきましたね、毎度あり〜」と

ひとまず期待通りにお応えして始まったバス旅行。

訪問した嵯峨野の祇王寺は、苔むす庭園として知られ、

昨今の、SNS映えする写真にはもってこいとばかりに、

若い層にも人気の観光スポットになっています。

とはいえ、今は人影もなく静かで、

私たちだけが、この美しく輝く苔庭の住人となっていました。

観光バスも入れない愛宕街道にある古刹とあって、

先のお客様も、ふぅふぅ息を上げながらもゆっくりゆっくりと

参道を歩かれました。

天から一直線に落ちる陽を反射させ、

緑の竹林と、青紅葉が、そこに何かがあることを知らせるように

青々と光を放っていました。

それを道標とばかりに、ほうほうの体でやっとたどり着いた先には、

緑の大海原が広がっていました。

「あんたの手借りてなんとか来て良かったわ」

さて、山門を後に、

「皆さん、ここには平清盛のお墓がありますよ」

違う、清盛の供養塔!

「そのお隣には清盛のお母さんの、」

違う違う、祇王と、妹と、その母親の!

「あら、失礼しました。

皆さん、せっかくいただいたお寺のパンフレットを熟読してくださいね」

全く、おたくは相変わらず、、、

その先を言わせまいと、お客様の小さな手をグッと引き寄せては、

参道をふたたび、右へ左へと揺れながら下って行きました。

ツアーとしては「鮎料理」を食べることが目的の美食旅。

そのお店でのこと。

鮎料理を堪能するなかで、お椀が出ました。

ふたを開けるやヌメヌメと浮かぶ蓴菜(じゅんさい)が目にとびこみ、

その後は喉越しするすると、あっけなく胃に収まりました。

と、奥の席から

「じゅんさいな人って大阪弁でいうよねぇ」

じゅんさいな人?

すみません、知りません。

すぐに調べると、、、ひやっ。

『いい加減な人』だそうです。いったい誰のことですか?

語源は、まさに今いただいた蓴菜。

掴みどころのないところからきているようです。

なるほどなぁ。

日本語は面白いですね…というか、お客様!

ご自身が仰る以上に本日はヨレヨレで、そしていつもに増して冴えてますよ!

憎まれ口はどっち?

 

手はお貸しするものの、お借りしているのはいつもこちら。

ご一緒するたび、敗北感に笑いが込み上げてきます。

**********************************************
旅行、オーダメイド旅行のご相談は…  
銀のステッキ旅行 TEL 0797-91-2260(平日9:00~17:00)
■銀のステッキは会員制の「旅サロン」を主催しています。
■公式ホームページ:http://www.gin-t.com
************************************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事をシェアする