ブログメニュー
2018/10/16

キサカタにキタカッタ

「キサカタにキタカッタんです」

駄洒落でも、早口ことばでもありません。

2日目に泊まった秋田・象潟(きさかた)のお宿のフロント女性から、
「どうしてはるばる関西から来て下さったんですか? 
象潟って東北でも知らない人が多いぐらいなのに」と訊かれたときの答えです。

そう、ずっと象潟に来たかったのです。

きっかけは何年か前、山形で芭蕉の足跡を訪ねたことでした。
拾い読みした『おくのほそ道』にあった
「松島は笑うが如く、象潟は憾(うら)むが如し」。

これにやられました。

だいたい嗜好がひねくれているのか、陽より陰、南より北、
太平洋より日本海、ぴーかんの晴天より雨模様に惹かれがち。
「象潟、いつか行くべし!」と、そのときしっかりインプットされたのでした。

今からおよそ300年前、芭蕉が『おくのほそ道』を旅した当時、
象潟は松島のように海に幾つもの島が浮かぶ「潟」でした。
九十九の島が浮かび、八十八の潟があったと言われます。

芭蕉が訪ねた日は雨。
その雨の象潟を、芭蕉は船で巡り、いくつかの島に降り立っています。
そうして詠まれたのが、象潟のこんな句でした。

象潟や 雨に西施が ねぶの花

芭蕉が象潟を訪ねてから約100年後、
鳥海山のふもとで大きな地震が起こり、地盤が隆起。
八十八潟は消え、九十九島の名残を残すだけとなりました。

私たちが見たのは、その名残の風景でした。

…さらにはその日は雨ではなく、秋晴れの快晴でした。

かつて海だった地は田んぼとなり、稲刈りを終えたばかりのすがすがしい大地の上に、
ぽつんぽつんとかつての島が丘となって緑に輝いていました。

でも、ぜんぶ見えてしまっているより、こうして見えないものを思うほうが好きです。
やっぱり、ひねくれてるんでしょうか。

(象潟から望む日本海)

*****************************

バス旅行、ハンドメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行
TEL 0797-91-2260(平日9:00~17:00)
■銀のステッキは会員制の「旅サロン」を主催しています。
■公式ホームページ:http://www.gin-st.co.jp

******************************

 

この記事をシェアする