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2011/8/13

バイカモの正体

お盆が来ると思いだすのが、
ちょうど終戦記念日に亡くなった
政治学者の丸山眞男氏の言葉です。

晩年の姿を映したドキュメンタリーか何かだったと思うのですが、
「他者感覚」の大切さを説いておられました。

 前提や常識は、人それぞれ
 ものごとのとらえ方や受け止め方も、人それぞれ
 他人さんなんだから、違って当たり前

そう自分なりに平たく解釈して、心に留めています。

だから添乗でマイクを握るときも、

「こちらは当然に思っていることでも
 お客様は初めて耳にする情報かも」

と気をつけているつもりだったのですが…。

先日、添乗で訪ねた伊吹山のツアーでこんなことがありました。

7月末の台風6号の影響で、延期して迎えたツアー当日。
花畑でおおわれた伊吹山・山頂を歩き、
帰り道、旧中山道の醒ヶ井宿(さめがいじゅく)に立ち寄りました。

ここの見どころは「バイカモ」。

バイカモ――「梅花藻」と書きます。
読んで字のとおり、梅のように小さな花を咲かせる藻。
清流に育ち、この時期、可憐な花が水面に揺れるのです。

バスが醒ヶ井に近づいてきたので、皆さんに地図をお渡ししました。
そしてマイクを持ち、説明を始めました。

「醒ヶ井宿はこの時期、バイカモの姿を求めて
 たくさんの方が訪れるところです」

「地図の地蔵川沿いでご覧いただけます」

「…ただ日程を延期した関係で、見頃はやや過ぎておりますが」

「先日の台風で増水して、大部分が流されてしまったそうでして」

「でも、また水も澄んできて、いくらかは残っているそうです」

楽しみにされているであろうバイカモ、
今年は咲き具合がベストとは言えませんよ、そう暗にお伝えし、
そしてご一緒に醒ヶ井宿の散策へと出かけました。

あ、咲いてる咲いてる!

地蔵川の清流に、可憐な花を揺らすバイカモの姿がありました。

皆さん笑顔です。

ところが。

つかつかと、あるお客様。
こう尋ねられました。

「カモはどこ?」

え?

「増水して流されたけど、多少はいるんでしょ。
 残りのカモが」

え? あぁ…!

なんとまぁ、「鴨」と思われていたのです、バイカモを。

カルカモか合鴨の一種だと思われたそうです。
増水して流されて可哀想、そう思われたのだとか。

う~ん、たしかに…

私自身、草花の名前なんて実はほとんど知らないくせに
旅行会社に勤める前は、バイカモなんて聞いたこともなかったくせに
バイカモが「藻」であることを説明していませんでした。

これぞ「他者感覚」の欠如です。

いや、それにしても。
はぁ…

ため息の本当の理由、それは

「カモ」のお客様が、
当日たまたま参加していたうちの母だったことです。

「他者感覚」、他人でなくても大切なようです。

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