冬の湖北
かの白洲正子さんは湖北のことを
著書「かくれ里」の湖北管浦の章でこう書いています
京都は桜が盛りでも
まだその辺は早春で、
枯枝の中にもこぶしの花が咲いていたりする
紅葉の頃は、もう粉雪が降り始める
寂しいけれども暗くはなく
しっとりしていても、湿っぽくはない
陶器にたとえれば、李朝の白磁のような
そんな雰囲気が好きで私はしばしばおとずれる
そう、私たちが訪れた日も
冬の雨がそぼそぼと降る一日で
しっとりしていました
でも、湿っぽくはなく
その小雨がいかにも、湖北の里らしく
艶っぽささえ、感じられるのでした
管浦は、その大浦と塩津の中間にある港で、
岬の突端を葛籠尾崎(つづらおざき)という
絵図で見るとおり、竹生島とは目と鼻の間で
街道から遠くはずれる為、
湖北の中でもまったく人の行かない秘境である
つい最近まで、外部の人とも付き合わない
極端に排他的な村でもあったという
今は、陸路が通っていますが、
岬の突端のため昔は陸路がなく、
航路でしか行けなかったため、
“陸の孤島”とも呼ばれていたそうです
そんな管浦の村にわざわざ行った理由は
今回の旅のメインタイトル
“冬の琵琶湖の味「鴨鍋」”をいただくため・・・
とは、私が勝手にそう思い込んでいただけで
参加の皆さんのテーマは
「冬の琵琶湖」
「白洲正子さんのかくれ里」
「冬の使者、白鳥の飛来」などなど
皆さん、まるで白洲正子さんみたい!
表通りを極端に嫌い
横道に入ったり、一本裏通りを歩いたり
あるいは道草したり…
それが、「かくれ里」という名著が生まれる
きっかけとなるのですが、
皆さんも、その裏にある“何か”を求めておられるようで
私は感心しながら、湖北へと向かっていきました
さて、冬の使者、白鳥は現れてくれるでしょうか
どきまぎしながら琵琶湖岸を走っていると
「…ん?あれ、白鳥ちゃう?」
「いやいや、ちっさすぎるわ。あれは鷺やで」
と、ざわつき始めるバス車内
皆さんの目線の先には、白い鳥の群れがいます!
-アレが白鳥?
と不思議に思いながら外に出て皆さんで眺めてみることに
でも確証がもてないままに、さて帰ろうかとした時
何と裏の野鳥センターのスタッフの方が
望遠鏡を持って近づいてこられたのです
「あれは白鳥ですよ、これで見せてあげましょう」
と、望遠鏡をセッティングして
ひとりひとり覗かせていただけたのです
「今年は飛来数が少なくてね…でも良かったですよ
今日皆さんご覧になれて。もう間もなく
飛び立って行くところでしたから」
そんな、説明をしていただきながら
レンズを覗き込む皆さま
「何て綺麗な鳥…」
「うわぁ、すごいわね、今にも飛び立ちそうよ」
雄大な琵琶湖と、白鳥の群れ、
そして雪を抱いた山並みをバックにした風景が
冬の湖北の厳しさとあたたかさのどちらも
映し出しているようでもありました
「今回、この白鳥が見たくて参加したんです
だから、良かった まだ残っていてくれて」
当初、滞在時間10分もあれば充分だろうと
ぼんやり思っていたのですが
気付けば30分以上も、ずっと白鳥を眺め
追っていたのでした
その後、管浦へ行き、
今も村の人は、昔からの言い伝えにより
裸足でお参りするという須賀神社へ
私たちは靴からスリッパに履き替えて
長い参道と石段を登って参拝に行きました
まだ雨は止む気配なく、
もやが立ちこめる境内から後ろを振り返ると
もやと杉木立の中から見えるわずかな集落と
大海原のごとき琵琶湖が
この地に伝わる伝説と村の人々の信仰心を
証明しているかのようで、
その神秘性にぞくっとしました
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