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2025/5/23

奥京都十箇寺巡礼へ

今まで、様々なお寺で素晴らしい仏像を拝観してきましたが

今日ほど、正面からきちんと一躰の仏像と向き合ったのは初めてだったように思います

銀のステッキは今年から「奥京都十箇寺巡礼」を始めています

「奥京都十箇寺巡礼」は、2024年に発足しました

「奥京都」と言われる丹波、丹後は、インバウンドによるオーバーツーリズムで過熱している京都市から程よい距離にあり、地の利も悪くありません

多くの素晴らしい寺社仏閣、そして文化財がありながら、
その事実が広く知られていない、ゆえに各寺院単体では維持継承が難しくなっている

そんな事実を受けて、福知山の観音寺のご住職、小藪実英氏さんが
京都市内とは全く違う、大陸文化の影響が色濃く残る北部の歴史、文化、自然を広く知っていただこうと各寺院に呼びかけ、賛同してくれた他9ヶ寺とあわせて「奥京都十箇寺巡礼霊場会」が発足したのでした

私は、この霊場会発足は、衰退が進む地方寺にとってすばらしい出発だと思います

今を生きる私たちの役目は、過去から受け継がれてきたかけがえのないものを次世代に引き継ぐこと、だと思います

自然もそう、環境もそう、思想も文化もモノも、、、

千年以上前のものが、今に伝わっているということは、
遺して、伝えていくべきたと先人が命がけで守ってきたものです

たとえば、仏像一躰にしても、その仏像を守るべき責任は寺院や檀家さんだけではなく
私たち国民ひとりひとりです

そう思うと、仏像の前に立つ自分に責任感が生まれ、きちんと向き合える気がしたのです

 

この日、最後にお参りした「金剛院」

ここには、あの名仏師・快慶作の「深沙大将」と「執金剛神像」が安置されています

奈良や京都ではよく見聞きする「運慶、快慶、そして慶派」という鎌倉時代を代表する仏師集団

その慶派作の仏像が、ここ舞鶴の寺に多数残されているのです

事前に予約していた収蔵庫に入り、ご住職の説明をいただきました

その説明が終わりそうなとき、

「せっかく来ていただいたのですから、仏像本来の姿をご覧いただきましょう」

と、収蔵庫の扉を閉め、蛍光灯の灯りを消し、その場を真っ暗にされました

そして、蝋燭に灯りをともし、2躰の仏像の前にその燭台を置かれたのです

すると、今まで拝見していたのと全く別の仏像が浮かび上がってきました

快慶には珍しく、激情にあふれた力強い2躰です

特に、深沙大将(じんじゃだいしょう)はかなり珍しい御姿で
下半身は、象が口をあけてそこから足が出ており、
往時、首にはシャレコウベの首飾りを装った凄みがあります

凹凸の部分に光と影が生まれ、所々残っている彩色(金色)の部分が光り、
水晶がはめこまれた玉眼が、ギロリとこちらを睨んだのです

ハッと、身構えました

奥を見やると、仏像の影が背後に大きく伸び、ろうそくの灯りでその影がゆらゆらと揺れ、
像高わずか85cmの像がとんでもない巨像に見えたのです

「昔は、ろうそくのぼんやりとした灯りで、下から見上げるように拝んでいたでしょう
仏像の威厳は今とは全く違っていたと思います」

誰も言葉を発することができず、ただその場に立ちすくんでいたように思います

私は、このように、真っ暗な中で仏像を拝したことがなかったので
衝撃を受けたとともに、その圧倒的な凄みと神々しさに涙まで出てきそうになりました

パッと蛍光灯の灯りが点くと、ここは現実でした

収蔵庫の外は、芽吹きの紅葉が青々として、目が覚めるような緑一面の境内

快慶の仏像と向かっていたあのわずかな時間は、私にとってもとても幸せな時間でした


※※今月の最後、薫風の季節に旅にでましょう!※※

5/30(金)~31(土) 能登演劇堂…出発決定‼️

5/31(土)~6/1(日) 芦津渓谷ハイキングと大江ヴィレッジ…出発決定!

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旅行、オーダメイド旅行のご相談は…
銀のステッキ旅行 TEL 0797-91-2260(平日9:00~17:00)
■銀のステッキは会員制の「旅サロン」を主催しています。
■公式ホームページ:http://www.gin-st.com

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