憧れの「甲子園ホテル」
添乗員という仕事柄、5ツ星級のいわゆる「良いホテル」に泊まることも多く、
今ではどんな立派なロビーにも、どんなに慇懃無礼なホテルマンにも、
ドギマギすることがなくなりました。
それどころか人間の慣れというのは恐ろしいもので、
何度も泊まるうちに、どのホテルもこのホテルも、みんな同じに見えてくる。
旅館の夕食、あるいは料亭の懐石と同じです。
だから、大自然のロッジや、ヨーロッパ郊外のマナーハウスなど特徴ある宿は別にして、
もう一度泊まりたいホテルとなると、かえってなかなか思い浮かばないもの。
けれども、叶うものなら、ぜひ泊まりたいホテルがひとつ。
それが、「旧甲子園ホテル」。
…ただ残念ながら、その願いは憧れどまり。決して叶うことはないでしょう。
《 かつて「東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル」と並び称され、
阪神間における高級社交場としてもにぎわった「甲子園ホテル」。
帝国ホテルの設計者として名高い建築家フランク・ロイド・ライト、
その愛弟子 遠藤新(あらた)、ホテル界の第一人者といわれた林愛作。
三者の理想に基づいて設計された、日本に残る数少ないライト式建築の建物。
昭和5年に完成したが、ホテルとしての寿命は短く、
海軍病院や米軍の将校宿舎として使われたあと、国に接収されるなど紆余曲折を経て、
今では武庫川女子大学の学び舎に 》
そんな記事を読んで以来の憧れ、旧甲子園ホテルを初めて訪ねたのは、春の朝。
青い空に、特徴的な「火色のタイル」がくっきりと映えていました。
まず、2つの塔を抱いた外観のたたずまい。
扉をくぐると、少し低めの天井と柱でくっきり切り取られた青い空。
最近ありがちな吹き抜け天井の、のんべんだらりとしたロビーとはまったく異なり、
すこし歩くごとに、カメラのフレームが捉えるように、風景が次々と変わりゆくのです。
印象的だったのは、火色のタイルと緑の瓦、
そして、あらゆるところにモチーフとして現れる、
「雨だれのしずく模様」と「打出の小づち」。
ライト式の壮麗な洋風建築と、ちょっと風変わりな「和」との出会いが
それでも違和感なく見事でした。
このホテルのすばらしさは装飾だけではありません。
●客室は、エレベーターからの距離がほぼ等しくなるように設置。
(エレベーターから遠い奥の部屋になって、たいへんな思いをしたことはありませんか)
●将校たちのダンスホールには、2階部分に楽隊の演奏スペースも。
実は『六甲おろし』が初めて演奏されたのも、こちらのホールだったとか。
●明かり窓からさんさんと日差しがふりそそぐ、半地下の巨大な厨房。
調理人などスタッフの働く環境を整えることで、よりよいサービスを提供でき、
ひいては客の満足につながる、という昭和初期にしてなんと先進的な考え方!
やっぱり一度でいいから泊まってみたい――。
実は、まだ事務所もなく、自宅のリビングでの打ち合わせのときから、
銀のステッキ旅行の栄えあるツアー第一弾は、
「ぜったいに甲子園ホテルね。お昼は須磨離宮ル・アンのフレンチで」
二人、そう心に固く決めておりました。
どちらも見ごたえたっぷり。
その日は1日中、日常の雑事を忘れ、余韻に浸っていたくなるような空間です。
「何度でも来て下さい。雨が降ると、また幻想的でステキなんですよ」
ホテルをご案内下さった、大学の方の言葉が耳に残り、
9月のツアー、雨だといいのにな、と良からぬことを考えています。
************************************************************************
■「旧甲子園ホテル」特別見学と 神戸迎賓館須磨離宮「ル・アン」のフレンチ■
―25名様限定 2つの迎賓館にみる建築美 ―
【期日】 2009年9月18日(金) 9月29日(火)
【旅行代金】 12,500円(交通費・1食)
【出発地と出発時間】
阪急川西能勢口駅(池田銀行前)8:30 阪急中山駅(改札前)8:45
阪急宝塚駅(池田銀行前)9:00 阪急逆瀬川駅(アピア3前)9:10
~栄華を誇った阪神間モダニズムの代表格、二つの迎賓館を訪ねる貴重な機会です~
【旅程】
●各出発地より、かつて「西の帝国ホテル」と称された「甲子園ホテル」へ。
建築家ライトの愛弟子、遠藤新による、洋式建築と日本的な伝統美が見事な建築は
その後、米軍による接収など紆余曲折を経て、今では武庫川女子大学の学び舎に。
国の「近代化産業遺産」にも認定された建物を、
完全予約のもと案内人とともにじっくり見学します。
●神戸・須磨へ移動。神戸迎賓館須磨離宮「ル・アン」として甦った
国内外の賓客を招いた旧西尾邸にて、フレンチのフルコースを。
美味しいものを少しずつ。お料理はもちろん、建物の優美さは折り紙つきです。
●最後に、今津小学校内・今津六角堂へ。
六角形の張り出しが印象的な、現役の小学校内にいまも残る明治15年築の六角堂を見学。
*最少催行人員20名 添乗員同行
*当社からお送りする取引条件説明書をお読み下さい。
*お申込金として代金の20%をお振込みいただき、残金は当日申し受けます。
■ご予約はお電話にてお願いします
銀のステッキ旅行 TEL 0797-91-2260
*お電話での受付時間/平日の午前8:30~13:00
(これ以降はFAX・E-mailにてお問合わせ下さい。)
FAX 0797-77-1400 E-mail:info@gin-st.com
株式会社 銀のステッキ
〒665-0035 兵庫県宝塚市逆瀬川1-1-46 M・Tビル2F
兵庫県知事登録旅行業第3-645号
営業時間:平日8:30~17:00 土曜・日曜・祝日定休
**********************************************************************