歌舞伎ことはじめ
本日、最終回だった TBSドラマ 『MR.BRAIN(ミスターブレイン)』。
キムタク主演、ほかにも豪華出演者が目白押しのなかで、
歌舞伎役者の市川海老蔵の存在感が際立っておりました。
今でこそ、知人には少し歌舞伎に詳しいふりをしてますが、
歌舞伎を初めて見たのは、まだ2年ちょっと前。
初心者には難しそう…というイメージと、
何といっても1万5千円を超えるお値段に、遠い遠い存在でした。
ところが2年前、あの海老蔵が大阪松竹座で『勧進帳』に出演すると知り、
見てみたいなと、初めて心が動きました。
しかも聞けば聞くほどその『勧進帳』、歴史的な舞台になるらしいことが判明。
というのは…
――元禄時代、江戸と上方の地で歌舞伎を大きく花開かせたのが、
初代市川團十郎と、同じく初代坂田藤十郎でした。
以来、江戸・上方の大名跡として名前は受け継がれながらも、
代々にわたり、決して同じ舞台に立つことのなかった「團十郎」と「藤十郎」。
その両者が、300年の時を超えて史上初競演をはたす舞台、
それがこの『勧進帳』だったのです。
そんな歴史的な舞台、ひとりで見るのはもったいない、お客さまにもご案内したいと、
ツアーを企画し、添乗でご一緒したのが、初めての「歌舞伎」体験でした。
團十郎の弁慶、藤十郎の義経、海老蔵の富樫――。
文字通り、しびれました。
團十郎と藤十郎のどっしりした存在感は言うに及ばず。
そして、海老蔵。
花があるとは、この人のことを言うのでしょう。
花道に現れるだけで、観客の目をくぎづけに。
声が響けば、客席からはため息が…。
終演後、舞台の熱気さめやらぬままバスに戻ってこられたお客さま。
私もすっかり興奮状態。
何せ300年越しの初競演。初心者には恐れ多いほどの名舞台でした。
以来、にわか歌舞伎ファンとなり、
こんぴら歌舞伎や京都の顔見世、建替え間近の銀座歌舞伎座など、
全国各地の劇場や芝居小屋へと、足を運ばせてもらいました。
こうなったのも、最初の出会いが強烈だったから。
第一印象とはやはり、大事なものです。
「銀のステッキ旅行」でもちょうど今、記念すべき初めてのツアーを企画中です。
次へとつながるかどうか、それはここでの第一印象しだい。心してかからねば。
まずは、「ぜひ参加したい」と期待していただける内容のものを。
そして、いざ本番で、期待以上の満足感を提供できるかどうか。
ちなみに、あのときの『勧進帳』に勝る舞台にはまだ出会えておりません。
それでもあの興奮を忘れられず、今後も劇場へと通いつづけることでしょう。
「最初のツアーがあんまり良すぎると、のちのちハードルが高くなるかも…」
そんな、お幸せで図々しい考えはこの際さておき、知恵をふりしぼります。