玉三郎と同時代を生きる幸せ
今夜、九州2泊3日の旅から帰ってきました。
きのう、熊本県は山鹿の八千代座で
目に焼きつけた、坂東玉三郎さんの舞台。
その興奮と熱気の余韻を、はるばる神戸まで背負って――。
毎年秋の八千代座のみならず、
各地で精力的に公演に取りくまれている玉三郎さん。
舞台を拝見する機会も多く、贅沢なことに実はもう5回目です。
このたび演じられたのは、『京鹿子娘道成寺』。
さらには今回、この大曲以上に心に残ったのが、
ご本人からの舞台挨拶、「口上」でした。
艶やかな女形姿の玉三郎さんが舞台中央で手をつき、
伏し目がちに話されます。
「…このまま、いつまでできるだろうか。
そんなことをよく考えます。
ただ、では長く続ければいいかといえば、
そういうものでもないと思うのであります」
若い娘を演じて何の違和感もない玉三郎さんですが、
初舞台はなんと昭和32年!
さびれた八千代座を盛りかえそうと重ねた玉三郎公演は
来年で20年目を迎えます。
「…年を重ねますと、体も変わってまいります。
そのなかで、決まった型を同じようにしなければならない。
あるいは未熟だけれども20年前のほうが良かったんじゃないか、
そう思うときもあるんでございます」
花道から現れたとたん、分かっていても毎回驚かされる美しさ。
目の動きひとつで客席の空気を一変させる鮮やかさ。
私の目にはいつも、玉三郎さんは完璧です。
それでも、こんなことを仰るのです。
「…いつも舞台を降りれば、悔やむことばかりでございます。
でも今日こそは上手にできるんじゃないか、
そう思い、またそう思わなければ
幕は開けられないのでございます」
そうして昨日も幕は開きました。
「天才」とひと言で片づけられる努力の人、生身の玉三郎の「口上」と、
『京鹿子娘道成寺』での何かの化身かと思うような妖艶さ。
その対比にくらくらしました。
玉三郎さんの舞台を見るたびに
役者名鑑、『かぶき手帖』のこんな言葉を思い出します。
「いま玉三郎を見られる観客は、幸せである」
――本当に。
この「幸せ」には、いまだ裏切られたことがありません。
きっと来月、京の師走の風物詩、「顔見世」でも、
とびっきりの「幸せ」が約束されているはずです。
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京都南座・「顔見世」夜の部
今年は、玉三郎と仁左衛門があの『助六』で競演します!
12月2日(水)でご案内中
詳しくは銀のステッキ・旅サロンまで
TEL 0797-91-2260(平日8:30~13:00)
Email:info@gin-st.com
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