谷川俊太郎の世界
百年前ぼくはここにいなかった
百年後ぼくはここにいないだろう
あたり前な所のようでいて
地上はきっと思いがけない場所なんだ
(谷川俊太郎 「朝」より)
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これまで縁遠かった世界が
急ににっこり歩み寄ってくる季節というのがあるもので
私の場合、ここ1年のそれが「詩」です。
そのなかで最近、読むようになったのが
詩人の谷川俊太郎さん。
たしか中学・高校の教科書にも登場していたと思いますので
…実に云十年ぶりの再会です。
谷川俊太郎さんの詩のテーマは
「生きること」と「愛すること」(たぶん)
詩というものの本質なのか、
恋の詩、愛の詩がやはり素敵なのですが、
それは各自、手にとっていただくとして
詩集から気に入ったものを3つ、
ご紹介させていただきます。
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「まんじゅう」
まんじゅう いくつくう
じゅうろく くう
まんじゅう いつくう
しじゅう くう
まんじゅう どこでくう
どうちゅうで くう
まんじゅう どうくう
むちゅうで くう
まんじゅう うちゅう
しきそくぜくう
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「黄金の魚」
おおきなさかなはおおきなくちで
ちゅうくらいのさかなをたべ
ちゅうくらいのさかなは
ちいさなさかなをたべ
ちいさなさかなは
もっとちいさな
さかなをたべ
いのちはいのちをいけにえとして
ひかりかがやく
しあわせはふしあわせをやしないとして
はなひらく
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだが
とけていないということはない
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「百歳になって」
百歳になったカラダに囚われて
タマシイはうずうずしている
そろそろカラダを脱いでしまいたいのだ
古くなった外套みたいに
「おいおい」とカラダは言う
「おれを脱いだらおまえはどうなる?」
「ふわふわどこかへ飛んで行きます」
なんだか嬉しそうにタマシイは答える
カラダはぶるぶるふるえて怒る
「生き残るのはおまえだけか?」
不思議そうにタマシイは答える
「そんなに死ぬのが嫌ですか?」
窓の外は今年も桜の花盛り
その上の空はどこまでも青く限りなく
カラダは足腰の痛みも忘れて叫ぶ
「生きたい生きたいいつまでも!」
その生きたい自分は誰なのか
カラダなのかタマシイなのか
生れる前のことを思い出したい
ヒトの形になる前のこと
生れる前にも自分がいたら
死んだ後にも自分はいる
「死んだら死んだで生きていくさ」
私の好きな草野心平さんの言葉です
タマシイとの対話にくたびれて
カラダは寝酒をすすって布団に横たわる
夢のなかでカラダはすっかり軽くなり
赤んぼみたいに笑いながら空を飛んでる
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どうでしょう。
私、3つ目の詩なんて、もう大好きです。
素朴な疑問。
こんな詩を詠む人は、
毎日なにをどう感じて暮らしてるんだろう…。
喜怒哀楽をすっかり飛び越えた
まるで妖怪のような好々爺なのか。
それとも煩悩まる抱えのまま齢を重ねた、
ひとりの人なのか。
谷川俊太郎さん、御年79歳だそうです。
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来る3月6日(日)、谷川俊太郎さんと、
その息子さんで音楽家の賢作さんによる
「詩と音楽のコンサート」があります。
谷川俊太郎さんの言葉と音の世界にふれてみませんか。
ご希望の方は下記をご覧のうえ、
メール・お電話でご予約下さい。
残席わずかです。
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http://ameblo.jp/arailuka/day-20101110.html
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