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2011/1/27

谷川俊太郎の世界


百年前ぼくはここにいなかった
百年後ぼくはここにいないだろう

あたり前な所のようでいて
地上はきっと思いがけない場所なんだ

(谷川俊太郎 「朝」より)

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これまで縁遠かった世界が
急ににっこり歩み寄ってくる季節というのがあるもので
私の場合、ここ1年のそれが「詩」です。

そのなかで最近、読むようになったのが
詩人の谷川俊太郎さん。

たしか中学・高校の教科書にも登場していたと思いますので
…実に云十年ぶりの再会です。

谷川俊太郎さんの詩のテーマは
「生きること」と「愛すること」(たぶん)

詩というものの本質なのか、
恋の詩、愛の詩がやはり素敵なのですが、
それは各自、手にとっていただくとして
詩集から気に入ったものを3つ、
ご紹介させていただきます。

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「まんじゅう」

 まんじゅう いくつくう
 じゅうろく くう

 まんじゅう いつくう
 しじゅう くう

 まんじゅう どこでくう
 どうちゅうで くう

 まんじゅう どうくう
 むちゅうで くう
 
 まんじゅう うちゅう
 しきそくぜくう

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「黄金の魚」

 おおきなさかなはおおきなくちで
 ちゅうくらいのさかなをたべ
 ちゅうくらいのさかなは
 ちいさなさかなをたべ
 ちいさなさかなは
 もっとちいさな
 さかなをたべ
 いのちはいのちをいけにえとして
 ひかりかがやく
 しあわせはふしあわせをやしないとして
 はなひらく
 どんなよろこびのふかいうみにも
 ひとつぶのなみだが
 とけていないということはない

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「百歳になって」

 百歳になったカラダに囚われて
 タマシイはうずうずしている
 そろそろカラダを脱いでしまいたいのだ
 古くなった外套みたいに

 「おいおい」とカラダは言う
 「おれを脱いだらおまえはどうなる?」
 「ふわふわどこかへ飛んで行きます」
 なんだか嬉しそうにタマシイは答える

 カラダはぶるぶるふるえて怒る
 「生き残るのはおまえだけか?」
 不思議そうにタマシイは答える
 「そんなに死ぬのが嫌ですか?」

 窓の外は今年も桜の花盛り
 その上の空はどこまでも青く限りなく
 カラダは足腰の痛みも忘れて叫ぶ
 「生きたい生きたいいつまでも!」

 その生きたい自分は誰なのか
 カラダなのかタマシイなのか
 生れる前のことを思い出したい
 ヒトの形になる前のこと

 生れる前にも自分がいたら
 死んだ後にも自分はいる
 「死んだら死んだで生きていくさ」
 私の好きな草野心平さんの言葉です

 タマシイとの対話にくたびれて
 カラダは寝酒をすすって布団に横たわる
 夢のなかでカラダはすっかり軽くなり
 赤んぼみたいに笑いながら空を飛んでる

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どうでしょう。
私、3つ目の詩なんて、もう大好きです。

素朴な疑問。
こんな詩を詠む人は、
毎日なにをどう感じて暮らしてるんだろう…。

喜怒哀楽をすっかり飛び越えた
まるで妖怪のような好々爺なのか。

それとも煩悩まる抱えのまま齢を重ねた、
ひとりの人なのか。

谷川俊太郎さん、御年79歳だそうです。

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来る3月6日(日)、谷川俊太郎さんと、
その息子さんで音楽家の賢作さんによる
「詩と音楽のコンサート」があります。
谷川俊太郎さんの言葉と音の世界にふれてみませんか。

ご希望の方は下記をご覧のうえ、
メール・お電話でご予約下さい。
残席わずかです。

▼「谷川俊太郎 詩と音楽のコンサート」はコチラ
http://ameblo.jp/arailuka/day-20101110.html

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