このお話が出た時、「正直難しいかな…」が、周辺の総意でした。
周辺というのは、スイスに行ったことがあるスタッフという意味。
相談された本人(私)はといえば、2年前に初めて行ったのが最初で最後。
ズバリ言えば個人的には自ら選んで行くことのない国のひとつでした。
あ、子供心にハイジ=スイスと単純明快にすごく憧れたことはあります。
でも、ハイキング=スイスとなると、ちょっと二の足を踏んでいました。

さて、お客様のご依頼は…
「海外旅行の最後に、やっぱりスイスに行きたい! 」
長年あたためておられた夢だそうです。
お身体が思うように動かなくなって、歩行には杖が必要です。
長時間、立ったままはお辛いので、時には車椅子も利用します。
そんなお客様のご希望を叶えたいのはもちろんですが、
スイスはなんと言っても自然景観、山がメインです。
そうなると…自身があまりスイスを知らないこともあり、
「果たして車椅子で本当に行くことはできるのか?」

お客様のご意向と、現実と、ずれる隙間をうめながら、行程を組んでいきました。
日本人に多い、「バスタブは必ず」
これが、「バスタブは怖いから、シャワーブースのある部屋で」
この変化が、銀のステッキの今です。
細かい手配を進めて、いよいよ出発となりました。
お客様にとっても、大きな決断(勇気)だったと思います。
さて、どんな旅になりましたでしょうか。

関空より深夜便でドバイ経由でチューリッヒへ向かいます。

ドバイ空港のラウンジ。
機内サービスもよく、食事も良かったとお客様。


広い空港内も車椅子サービスで移動します。

最初の目的地ルッツェルンはあいにくの雨。
しかも寒い。

週間予報見れば、なんだか雲行き怪しい天気マークが続いています。
嫌な予感がするもお客様は
「大丈夫、私晴れ女だから」
なんとも力強いお言葉。


カペル橋も寒々しい。

ルッツェルン名物のパイ包
仔牛肉とキノコのクリーム煮をサクサクのパイ生地に詰めた、ボリューム満点の一皿。


朝食のヨーグルト、オレンジジュースの美味しいこと!

オードリー・ヘップバーンが挙式をあげた高原のホテルからの眺望。
スイスには1500もの湖が点在しているそうです。


氷河の水が数千年かけて岩を削りできた「アーレー渓谷」へも車椅子で

さて、お客様の断言どおり、天気はぐんぐん青空に向かって行きます。
そして、おなじみユングフラウの拠点となるグリンデルワルドへ。

ホテルからのこの景色!贅沢です。

インテリアもザッスイス、エーデルワイスが花開き。

レトロ調の食器も高山植物が満開です。

アイガーもどどーーんと。

電車、ゴンドラと乗り継いで、ユングフラウヨッホを目指します。
標高3,454メートル「ヨーロッパで最も高い鉄道駅」へ。
車窓からはハイジの世界が続きます。
レールの真ん中にある歯車を噛ませるラックレールが、山岳列車の特徴ですね。
車椅子ごとゆったり乗車できる大型ゴンドラで一気に山頂へ!
完全バリアフリーです。
アルペンマカロニ!
チーズたっぷりにカリカリベーコン。
ビールが進みます。
コルドンブルー
いわゆるカツレツチーズ、中からとろーり熱々チーズが溢れます。
ワインが進みます!
お店一押しの今日のメインは…
ホワイトアスパラガス。なんと肉厚なことよ!
とにかく…うーん、唸るほど美味しい旬の味でした。
付け合わせのポテトもこちらでは主食のようです。ホクホク甘い!
この時期、スイスの日没はだいたい21:30くらい。
それだけで1日が充実した気持ちになりますね。
いよいよ、旅のハイライト、マッターホルンに向かって出発です。
途中、トゥーン湖でランチタイム。
このロケーションだけで、優雅な気持ちに満たされます。
動きたくなーい。
マッターホルンの拠点となるツェルマットへは、カートレインに乗って移動です。
日本でいうところのカーフェリーのようなもの?
険しいアルプスの山道を回避して、
山脈を抜けるトンネルを車ごと運ぶ列車に乗って移動する手段です。
これは初、面白い体験でした。
とはいえ、ずっと真っ暗なトンネルですから、車内での無言の時間は少し耐え難くも…
その長いトンネルを抜けると、ツェルマットはもうすぐそこ。
途中電気自動車に乗り換えて、村へと入場です。
車椅子も長旅、頑張ってます!
ツェルマットは山の谷間の小さな村。
そこに世界中の人々が押し寄せてくる、まさにスイスの王道観光地。
環境保護のためガソリン車の乗り入れが禁止されているため、
澄んだ空気と静寂に包まれた美しい街並みが特徴ですが、
なんといっても、観光客を魅了するのは名峰マッターホルンの姿でしょう。
村の先まで歩けば、この景観!
やはり、列車、ゴンドラと乗り換えて、間近にマッターホルンを拝みます。
いやぁ〜ほんとはるばるここまで来ましたね!
マッターホルンが手に届く目前です。
おふたりは遠く、何を見つめておられたのでしょうか。
アルプスの山々から降りてくる風を浴びながら、
緑のテラスでのランチタイムは贅沢です。
空気がおいしいって本当ですね。
名物ロッティはカリカリポテトに、ホワイトソーセージ。
高地で空気が薄いのに…どんどんビールが進みます!
山ですから、干し肉、チーズの盛り合わせが人気です。
この塩味だけで、ワインが進みます!
って、毎度同じこと言っていますが…
旅の終わりは国際都市ジュネーブ。
お二人の完走を祝うかのように、噴水が上がります。
さすがに、お客様も疲れが隠せませんが、
ここから無事、日本へと帰国の途につきました。
旅の中で、私が印象的だったのは、
「こっちに来てから、とにかく朝ごはんが美味しいわ」
「家におったら動かへんからか、なんか体調がええわ」
これって、まさに旅の持つ治癒力ですね。。
お客様にとっては心身ともに大きなご旅行だったと思います。
それでもとにかく、思いを果たされ、何より元気に帰国されたことに安堵しました。
願わくば、
最後の旅がまた増えていますように…
「歩かなくても行けるスイス」
これなら私もまだ行けそうです!?