十年は一瞬、箱木千年家と五色塚古墳
ここ最近の時代の移ろいの速さを見ていると、「十年ひと昔」なんて言葉は、遠からず消えていくのかもしれません。そんななか、「千年家」というなんともどっしりした名で呼ばれているのが、北神戸の山田地区に残るこちらの古民家。「箱木千年家」です。
念のため辞書を引くと、千年とは「長い年数のたとえ」とありました。
江戸元禄期の史料に、早くも「千年家」と記されており、このあたりの地の有力者、箱木家の住まいだったとか。とはいえ私にとっては、同じ神戸の片田舎にあるただの古民家。「俺が子供のころ、箱木の爺さんがまだ住んでいたなぁ」なんて話も聞いていましたし。ところが今年、その古民家が、なんと国宝に登録されることになったのです。
建てられたのは、室町時代(14世紀)。築「千年」とまではいかなかったわけですが、日本に残る最古の民家として国宝に指定されたのを機に、久々に訪ねてきました。国宝、国宝と言い聞かせつつ足を踏み入れてみると、梁にしろ、柱にしろ、たしかに重々しさが違うような・・・。隣接する離れ(江戸期の築)がどこか軽く見えるほど、千年家には長い時代を耐えて生き延びてきた風格がありました。
午後から訪ねたのは、さらに時代が遡って4世紀造の五色塚古墳。むき出しの石がタイルのように表面を覆う姿が斬新ですが、ガイドさんの話によると、これが本来の古墳時代の姿だそう。
10年がかりの整備が完了し、史跡として公開されたのが1975年。ちょうど対岸の淡路島とを結ぶ明石海峡大橋の構想が具体化していた頃で、近代の技術と古代の技術を一望のもとに、というコンセプトだったとか。1975年といえば、ポートアイランドの埋め立てで知られた「山、海へ行く」の宮崎辰雄市政です。五期二十年つづき、神戸がブイブイいわせていた時代。なんだか隔世の感があります。
(当日は土砂降り。写真はパンフレットより)
土砂降りの雨のなか、千年家と古墳を訪ね、久しぶりに百年、千年単位の時間を想像してみた一日でした。
「十年ひと昔」という言葉は、ほぼ失われているかもしれない十年後。でも箱木千年家と五色塚古墳にとっては十年なんて一瞬、きっとそのまま残っていそうな・・・。
ちなみにこの日のお昼は、実家で30年飽きずにおせちを取り続けている「博愛」さんの中華でした。来年もよろしくお願いします。





